病院からのお知らせ

長野日報連載リレーコラム「おらほの病院」⑤が掲載されました

長野日報 朝刊(毎月第1日曜日)での連載 諏訪中央病院リレーコラム『おらほの病院』
5回目となるコラムが1月8日(日)の朝刊に掲載されました。
引き続き、産婦人科の鈴木靖子医師によるコラムです。

ご覧になれなかった方は、ぜひ以下よりご一読ください!
(出典:長野日報1月8日(日)掲載分(転載の許可を得ています))


諏訪中央病院リレーコラム
おらほの病院 ~あたたかな医療をめざして~ 第5回

 「生理は女性の敵か、味方か?」
  産婦人科医長 鈴木靖子
 

 新年最初のコラムも、産婦人科医が語らせていただきます。なかなか次にバトンを渡さないとおしかりを受けそうですが、年末年始に食べ過ぎ、飲み過ぎてしまった皆様にご自分の生活を振り返っていただきたく、今回も産婦人科医の立場から日々感じていることをお伝えしていきます。

 女性は生殖年齢になると生理が来ます。10代の最初の頃はやや不安定ですが、20代では安定して毎月規則的となり、30代後半からはやや経血量が減ってきて、40代後半からは不規則になり、50歳頃に閉経を迎えます。これが、正常な生理の経年変化ですが、もちろん時には体調により、生理に不調をきたすことがあります。

 生理の1サイクルに注目しますと、生理の1,2日前は体の水分が移動し、むくみになりやすく体重が増え、その分、腸の水分が少なくなり便秘をします。生理直前は自分の周りの環境にいらいらすることが多く、仕事や家庭が嫌になったり、家族に当たったりするのもこの時期です。そして生理がきます。2つの女性ホルモンのエストロゲンとプロゲスチンがここで切り替わり、すっと気持ちが落ち着く瞬間が来るのが自分でも分かるかもしれません。生理がくると、むくみの水分が腸に戻るので、少し下痢ぎみになります。そして体重が減ります。

 生理が始まって2週間くらいすると排卵がおこり、そこで妊娠しない場合はさらに2週間くらいで次の生理が来る、というサイクルが約40年間、ひたすら繰り返されます。女性は自分の身体の変化で、確かになるほどそうだと感じられるでしょうが、男性にとっては未知の領域だと思います。男性にはホルモンの大きな周期変動がないので、コンスタントに同じ気持ちで働けるのが男性の良いところですが、女性のこの周期変化は次の世代を生むために必要なので、社会全体で付き合っていくしかありません。

 生理は、本来痛くもなく、多くもないのが正常です。生理が痛い、多いなどの不調は多くの場合、運動不足や食生活の偏り、ストレスからやってきます。よくある例では、まんじゅうやチョコレート、クッキーやチーズなどを毎日のように食べる習慣は、生理を重くします。生理には身体の余分なものを出すというデトックス効果があるので、生理が重いときは、その1か月間で余分なものをため込んだというサインだと思うと良いです。過多月経という生理の出血が多くて困っている患者さんを、子宮を取らずに子宮内膜を焼くだけで治す新しい治療があって、その治療で今まで50人ほど治療してきましたが、実際はその3~4倍の何百人もの患者さんが、生活習慣を変えるだけで生理が楽になって治療をしないで済んでいます。

 生理は、けっして女性の敵ではなく、正しい生活習慣を身につけるための味方なのです。閉経する前に正しい食事、運動習慣を身につけて、ストレスも上手に発散していきましょう。閉経後は、子宮は何も教えてくれなくなりますので、閉経して重い生理から解放されたとしても生活習慣病が待っていることになります。では、生理がない男性は何をバロメーターにすれば良いのでしょうか?答えは簡単です。生理のある女性、妻、母親、姉妹、娘たちのいうことを素直に聞けばよいのです。昔から、「女は、家の要である」といわれる所以かもしれませんよ。


次回は平成29年2月5日掲載予定です。

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